セラミック治療

セラミック治療とは

従来の「セラミック歯」は前歯だけの単なる「審美治療」のみのものでしたが、歯学の進歩により『オールセラミック』が登場し、「歯周病」や「むし歯」に対する予防性、「金属アレルギー」に対する生体親和性、「摩耗」に対する継続性などが著しく飛躍を遂げました。
その結果、前歯のみならず奥歯にも応用することが可能となり、1口腔単位の治療も数段のレベルアップをすることができます。

また九段北歯科では、患者様のお口に装着するかぶせ物や義歯はすべて、長年信頼関係を築いている東京都内の高技術のラボ(歯科技工所)で、責任を持って作製しております。
昨今問題になりました国外委託などはしておりませんので、ご安心ください。

前歯

治療前
治療後

前歯

奥歯 + 前歯

透明感が天然歯以上に綺麗な場合もあり、審美性に優れています。
治療前
上の前歯の歯並びと奥歯の磨耗、色が気になります。
治療後
天然歯以上の透明感と奥歯の長さ、色、形が回復しました。

※(ラミネートべニア)前歯 -予防性重視

虫歯の大きさによっては、歯の表面だけを削って、セラミックを貼る方法もあります。
治療前
上の前歯が6本全て虫歯になっています。
治療後
向かって左2本がセラミック冠をかぶせ、残り4本はセラミックベニアを貼り付けています。

パンフレット

セラミック治療について

①メタルボンド

開業当初(平成元年)は昭和の時代から続くメタルボンド(金属裏層タイプ)がほとんどでした。その頃はいかに他の歯と「色」や「形」をそっくりに作るかが歯医者や歯科技工士の目標、プライド、ステイタスでした。かなり隣在歯などとそっくりそろえても着色やクラックライン(ひび割れ)までそろえて結果、思ったより喜んでもらえませんでした。笑えない話です。
②オールセラミック

・ダイコア
九段北歯科では平成5年あたりからスタートした初めてのオールセラミックです。 ガラス成分(シリカ)の多いセラミックで非常に透明感が強く画期的なイメージでした。専門家の歯科医師などから見ると「ガラスぽくってどうか?」と思いましたが結果、ファンは意外に多かったような気がします。ただ「色」の出し方は技工士がかなり苦労した記憶があります。

・エンプレス
ダイコアから数年がたち「歯の色」を重要視した人々達?がこぞってエンプレスを開発、普及させました。しかしながら「歯の色」と「セラミックの強度」を両立させるのは至難の業でした。「歯の色」はともかく「セラミックの強度」が不足して各方面の歯科医院から報告が押し寄せた様子です。その結果エンプレスは早いスピードで「1」、「2」と改良、変遷を重ねていきました。そして出来上がったのが次に述べる「e-max」です。
・e-max(イーマックス)
平成の前半以降オールセラミックはほぼすべてこのe-maxに置き換わったと記憶しています。材料的にも従来の溶接タイプ(キャスト)だけでなくブロック削り出しタイプ(cadcam)など時代に合わせた素材、手法が登場しています。ちなみに「e-」はエンプレスの「e」ですが名前は変えたかったと思われます...
・ジルコニア(酸化ジルコニア)
さて、そしてジルコニアの登場です。平成の前半、中盤はイーマックスが席巻していたところ後半から頭角を現し始めました。令和に至ってはイーマックスを作らずジルコニアだけ製作する技巧ラボも現れ始めました。ジルコニアは金属ではありませんが「鉱物」です。レントゲンで映してもメタルと同じように写ります。ちなみに前述のダイコアやイーマックスはガラス系(シリカ)なので天然歯と同じように写ります...

ではこのジルコニア何かと云いますと人工ダイアモンドです。要するに強度が圧倒的に強いのです。歯科界がずっと欲しくて悩んできた「メタル並みの強度」を獲得できたのですが・・・

物事には必ず長所、短所、利点、欠点、表、裏があります。
硬くて強固なためにそれ自体は壊れませんが嚙み合わせの歯が異常にすり減ったりジルコニアを被せた歯自体が損傷するということが起こりえます。もちろん被せる歯のデザインや嚙み合わせのさせ方等々補助的な方法をとりますが歯ぎしりや強い嚙み合わせの人には限界もあります。

まとめ

自分としては

審美的要素からは
ダイコア>イーマックス>エンプレス>ジルコニア

強度的要素からは
ジルコニア>ダイコア>イーマックス>エンプレス

になります。
ただし今現在ダイコアとエンプレスは製造販売していませんので必然的に

「審美要素が強い前歯や手前の小さい奥歯はイーマックス」
「機械的強度が必要な大きい奥歯や歯ぎしりをガイドする手前の奥歯はジルコニア」


等々分類します。そしてダイコアやエンプレスの抜けた守備範囲にはイーマックスやジルコニアが材質の種類やバリエーションを増やしカバーしていきます。
さらにはセラミックをセットするときの接着剤のカラーバリエーションや接着力が対応範囲を広げているのが現状です
ⓐ 長所
Ⓑ 短所

セラミックの接着セメントの種類と移り変わり

セラミックを歯に被せるにあたり大事なポイントが接着剤です。将棋に例えて?言えば「セラミック修復治療」という王将に対し飛車が「材質」、角行が「噛み合わせ」となります。そして傍で守り寄りそう金将が「接着セメント」でしょう。後述する「表面処理剤」は銀将に当たります。

普通のセメント

昭和の頃の歯の治療は金属修復が主流でした。そのための「普通のセメント」は接着強度が弱く唾液にも溶けやすいためその後のオールセラミック治療には全く使えませんでした。したがって専用セメントの「レジンセメント」がどんどん開発されて普及していきます。これは平成のオールセラミック治療に比例して増えていきます。

レジンセメント

① 粉末+液体 型

初期の頃はこれが走りでした。操作性が悪くセラミックのセットには向いてません。しかし接着力は強く今でも矯正装置を歯に付ける時には使用しますし歯が破折した時の固定などもできます。
② ペースト 型(オートミックス)

現在はほとんどこれが主流となっています。セラミックset時の操作性も良く色の種類もバリエーションが多く透明感のあるオールセラミックset時などには余計効果を発揮します。しかしジルコニアに至ってはカラーバリエーションの恩恵にあずかれません...

表面処理剤は必要かどうか?

銀歯などの被せる治療は前述のセメント処置だけで済みますがオールセラミックではそうは簡単にすみません。削った土台の歯と被せるセラミックの内面処理を施さなくてはならないのです。表面処理は清掃と接着促進剤ですがセラミックと土台の歯とそれぞれ薬剤が若干違います。いずれにしてもセメントをセラミックと強固に一体化させ削った歯にはめ込むことで初めて嵌合力が出現します。

(金属の歯の被せ物は嵌合力に関しては唯一セラミックに勝っています。素材の展延性からくるものです。ただそれがゆえにセメントの開発、発展は遅かったと思います)